今回お話を伺ったのは「ファースト税理士法人」の代表を務める、堀尾栄子さん。「一緒にいるだけで元気になれる」と慕われ、ファンが多いことでも知られています。ご実家が飲食店であり、ご自身が落語好きということもあるのか、テンポのよい話し方で、お金の話をわかりやすく説明してくださるところも、人を惹きつけています。
実は最初から税理士になることを考えてはいなかったとのことで、資格を取ったのは51歳だそう。そこまでのお仕事の歩みや、会長への感謝の気持ち、そして「美しく生きる」ことに対する思いを語っていただきました。
大企業から料理店に転職し、
縁あって税理士の道へ
高校卒業後、旧住友軽金属工業で8年間勤務したのですが、知人から割烹料理店を手伝って欲しいと言われ、「楽しそう」とあっさり退職。その後、将来が見えなくなり、両親からも「ちゃんとしたところで働け」と言われ…。「社名に『事務所』と付けばちゃんとしてそう」と、転職雑誌で探したのが今の事務所。もし弁護士事務所や探偵事務所に行っていたら、今の私はなかったですね(笑)。
そういう状況だったので、未経験者の私にとっては「拾ってもらった」も同然。当時は税理士の仕事の大きさもわかっていませんでしたが、今思うと、全力で会長に守られていたと痛感します。
困った時の駆け込み寺として
関わる人を笑顔にできたら
私が働く理由は、関わる方を笑顔にするため。「困ったなあ」「どうしよう…」という時に「堀尾さんがいた!」と思い出してもらえたり、実際お話ししながら安心されていく様子を見る時、税理士の仕事の醍醐味を感じます。
そして仕事の上では「道理」を大事にしています。物差しは、私がいいとか稼ぎたいではなく、人のためになっていて、人として間違っていないかということ。道理に反すると感じたら辞する仕事もあります。それは事務所と社員を守るためでもありますからね。
人生に「ねばならない」はない。
失敗も気にする必要はなし!
最近「自分を生きていない」と悩む人が多いと感じます。自分の車なのに他人や親が運転しているみたいな。同様になぜか諦めもいい。社員には「もっと食い下がって来い!」なんて思っちゃうんだけど(笑)、否定されたり無視されるのが恐いのかな…。
でも失敗しないと育たないから、たくさん失敗して幹を太くして欲しい。結局、失敗も、どう見えるかを気にすることも、他人に期待していることだから、辞めちゃえばいいと思うんです。
ですから学生さんの講座では「世の中で守らないとならないのは『法律』『自分が決めたこと』の2つ」と伝えています。その「決めたこと」の中には「辞める」も含まれるので、「もう辞めたの?」と言われても放っておけばいい(笑)。だって周りは何にもしてくれないもん。それより自分の決めたことを、後悔しないように行動するのが大事だと思うんですよね。
「美しい」の概念は
十人十色・千差万別
実は「美しく生きる」ということをあまり考えたことがないんです。年齢を受け入れつつ小綺麗にはしていますが、「美しい」という概念は人それぞれですしね。
もし言葉にするのなら「自分のままに生きたい」ということかな…。決して歯を食いしばるのではなく、思いのまま生きている状態で「美しく生きているなあ、しなやかだな」と映ればいいですよね。
個人的には、美しい人って常に何かに挑戦している印象があります。例えばMDNA SKINの共同開発者であるマドンナを見て「キレイな人」だけで終わらないのは、いつも何かに挑戦しているからではないでしょうか。
きっと目に見えないところで、困難に立ち向かってきたからこそ「美しく生きる強い力」という言葉が合うのだと思います。
挑戦し続けながら、
自分なりの出口を目指す
そんな視点で私の挑戦を思い返すなら、やはり51歳まで続けた税理士試験。それから、日々会長に何かを伝えることの2つでしょうか。
会長の逸話は多々ありますが、とにかく毎回が禅問答。不思議なもので、私が迷っている際には「それは良くない」と返されるのですが、伝え方を工夫したり、深く考える力を鍛えられています。
代表になって5年が経ちますが、拾われてチャレンジできて、税理士になれたのは会長のお陰。ですから、未経験しか採らないうちの事務所で、従業員たちをどうやって税理士にしていくかを考えたいです。そして、何があっても従業員を私が守っていこうと思っています。
こうした役割を果たし、自分なりの「出口」を決めていくことが、会長への恩返しにもなれば嬉しいですね。
【堀尾さんのMDNA SKIN
お気に入りアイテム】
手間なしでお手入れできる、ザフェイスウォッシュを愛用していますが、これにまつわるストーリーが好きなんです。マドンナからの「少し目にしみる気がして…」という声を受けて再考し作り直したそうで、とことんこだわって丁寧に作っているところに共感します。
- 堀尾 栄子(ほりお えいこ)
- ファースト税理士法人 代表
- 保育士キャリアアップ研修講師(厚生労働省)/児童発達支援管理責任者
名古屋市立西陵商業高校(現西陵高校)卒業後、旧住友軽金属工業にて8年勤務し、その後、知人が営む懐石料理店で2年働く。
30歳目前で、「丹羽徳光税理士事務所(現:ファースト税理士法人)」に、未経験ながら採用される。入社後、税理士を目指すことを決意。大学院にも通いながら仕事と勉強を両立させ、51歳で税理士となる。
東海エリアや静岡、東京に約400件のクライアントを抱え、税務・会計業務はもちろん、開業支援、相続・資産対策まで提案できるオールラウンドプレーヤーとして活躍。
横の繋がりの広さから弁護士や社労士とも連携でき「ワンストップサービス」で悩みを解決できるのも強み。一方で個人事業主や学生向けのセミナー講師としても活動中。
2019年/同代表となる。
インタビュアー/ライター 増田 有香(綴屋 https://tsuzuriya.jp/)
撮影 臼井さや香(IMA photography http://jotatu.jp)