株式会社ぷらいむ代表取締役社長、岩崎江里子さんは、はじけるような笑顔が印象的な女性。出会う人の心を一瞬にしてつかむような魅力の持ち主で、現在は150名の社員を束ねています。
とはいえ、コンプレックスだらけだった幼少時を過ごし、20代での最愛の母との別れや離婚、過食症も経験。決して平坦な道のりだけを歩いてきたわけではないそうです。
実は、MDNA SKINの立ち上げにも関わり、盛り上げてくれたキーマンでもある岩崎さん。そんな彼女に人生のさまざまな岐路で出会った方々、「美」の哲学、そして笑顔がもたらす幸せの循環についてお話を伺いました。
頑張れば目標が達成できると、
教えてくれた、
中学時代の部活動
小さい頃、兄と妹はシュッとしているのに、私だけ太っていて運動も苦手で。すごいコンプレックスだったんです。それが変わったのが、中学でバレー部に入部した時でした。
先生も練習もとても厳しく、まさに「THE・昭和の部活」。私は、毎週試合を見に来てくれる母を喜ばせるために、レギュラーになりたいと思いはじめました。先生にどうしたらいいか聞くと「二重跳びが100回できたらレギュラーにする」と言われ、一念発起。最初は1回も飛べませんでしたが、庭の高い石段の上から飛び、だんだん段を低くして…とコツコツ続けるうちに、数ヶ月後100回飛べるように。結果、レギュラーになって県大会3位という成績をおさめ、バレーボールが大好きな母を喜ばせることができました。「目標があれば努力でき、頑張れば何でもできる」という成功体験と、一人ひとりの頑張りでチームが強くなることを体感したのです。
店舗のお手伝いから、
本格的なエステの施術者へ
「結婚したら専業主婦になる!」と決めていましたが、婚約中に花嫁修業をしていた際、父と兄が経営するエステの1店舗が人手不足に。電話番とお掃除くらいならと手伝いはじめたところ、皆さんあまりにも大変そうで…。「私が施術を覚えれば少しは助かるかも」と技術を教えてもらったのが、業界に入ったきっかけです。
毎回、お客様と1対1で話すと「絶対よくしたい」「キレイにしたい!」という思いが強くなり、一緒に目標を叶えたくなるんです。気づけば距離が縮まり「私が卒業するまでいてね」というお客様が増え、違うお客様ともお約束をし…そうこうしているうちに辞めるきっかけを失い、気づけば30年が経ってしまいました(笑)。
戸惑い悩んだ40代を
心の奥底で支えた母の存在
30歳の時、スタッフからの「研修センターが欲しい。代表は江里ちゃんに!」という声でセンター長に。40歳で副社長になりました。しかし、社員に恥をかかせたくない一心でブランド物で身を固めたり、自信をつけたいと睡眠を削って資格を取るなど、自分を追い込んでいました。
でもふと気づいたのです。私にとっての喜びは、心が通じ合うことだと。そして、エステティシャンも副社長も、ただの「役割の名称」に過ぎないんだから、役割を遂行すればいいだけだと。ブランド物は武装のためだったと全て辞め、そこからだんだん力が抜けていきました。
マドンナの専属エステティシャンとの出会いも、私の転機です。彼女に「江里子はなぜこの仕事をしているの?」と問われた際、思い出したのは、26歳の時に白血病で亡くなった母のこと。闘病中、毎日母にエステをしていましたが、「江里子がエステティシャンでよかった。お母さんは本当に幸せ」という言葉を残し母は天国へ旅立ったのです。
その話をすると「私が江里子を選んだのは、愛のエネルギーの交換ができる人だったからね!」と言われ、涙があふれてきました。それまでは心のどこかで「頼まれたから働く」という意識があったのですが、それは私の逃げだと気づいたんです。彼女の言葉で「この仕事が好き。だから私がやるんだ!」という強い意志が固まったと思います。
笑顔と愛情を循環させ、
50代を応援する企業へ
世の中は少子化ですが、弊社にはその言葉はありません。なぜならみんな出産&復帰してママさん店長になり、時にはその子の家の近くに支店を作っちゃうから(笑)。働き続けることを目標に、一人ひとりの仕事のスタイルを考えるので、「時短正社員」を導入、店長会議もお子さんのお迎えに合わせて、開始を13時から12時にしたり、web会議を採用しています。スタッフみんなが心から笑顔でいて、愛を持ってお客様に寄り添うことが一番大切ですし、仕事の成果は大事ですが、家庭を幸せにする「学び舎」になるのが、会社の役目だと思うんですよね。
そんな私が個人的に大切にしていることは、年齢を受け入れて愛しむこと! 美の基本は「肌のツヤ」「髪のツヤ」「姿勢」だと思うのですが、お手入れも意識も「やるか、やらないか」なのに一人では難しい…だからこそ、サポーターになっていきたいです。
今後応援したいのは少し下の世代の50代です。子どもの巣立ちや介護も出てきて、更年期に悩む中で頑張る50代が元気になると、日本全部が変わるかなって。
そして、笑顔を連鎖させたい。赤ちゃんの笑顔を見ると誰でも笑顔になるように、笑顔は人の原動力になり、その連続が喜びの和となって社会に共鳴する…。そんな未来を作りたいです。
まずは1ミリでいいから口角を上げることが幸せの第一歩。そう考えて、辛いことも周りの人と乗り越え、みんなで幸せになっていけたらいいですね。
【岩崎さんのMDNA SKIN
お気に入りアイテム】
スキンリジュビネーターは、エステティシャンの指そのものと言っても過言ではない(笑)、優秀なアイテム。すぐピンポイントに当たり、ただ流すだけですから、どんな不器用な方でも大丈夫! 「誰でも簡単に体感できる」とマドンナが開発したアイテムだけに、弊社でも1,000セット以上販売しました。
- 岩崎 江里子(いわさき えりこ)
- 株式会社ぷらいむ 代表取締役社長
1964 年三重県尾鷲市出身。同鈴鹿市在住。
栄養士を経て、24 歳でエステティシャンの道へ進む。
26 歳の時母が白血病に罹患、日々エステを行うも病状が進み「美、健康、命とは」と嘆き苦しむ。しかし「江里子がエステティシャンでよかった」という最期の言葉に、自身の手で母を救えていたと気付き、エステティシャン人生における重要なターニングポイントとなる。
30歳で研修センター長、40歳で副社長に就任。
50 歳でスキンケアブランド「MDNA SKIN」のコンペにて日本で唯一のブランドエバンジェリスト(伝道師)に選出。マドンナの専属エステテティシャンからニューヨークへの招待がエステティシャンとしての使命が明確になったきっかけになる。
自身のテーマは「目の前の人を美しくすることは、愛のエネルギーの交換」。
58歳で、代表取締役となり、14店舗を運営する中でも、エステティシャンであり続け、慈善活動なども行っている。
エステティック国際ライセンス インファースクール四日市校校長
分子整合医学美容食育協会 ファスティングマイスター学院 四日市支部 支部長
日本シニア検定 四日市認定校校長。
好きな言葉は「和顔愛語」。
インタビュアー/ライター 増田 有香(綴屋 https://tsuzuriya.jp/)
撮影 臼井さや香(IMA photography http://jotatu.jp)