

今回は、「株式会社ワイズエフェクト」代表取締役の余語まりあさんです。「ブランディング」という言葉が一般的でなかった16年前、骨格や顔型診断を取り入れたファッションコンサルを経て、社員の印象から企業のブランドイメージを実現する研修に着手。現在は、トータルで「企業のブランドイメージ」を叶える社員育成や企業研修を行っています。
そんなまりあさんに、厳しく躾けられた少女時代、相手を知ることに心を傾けた会社員時代、そして専業主婦を経て、40代後半で起業に至った経緯を取材。「輝く女性 10人の物語」の最終回として、誰にでも響く言葉の数々を伺ってきました


自分を最大限に発揮するには、
自らを知り、分析すること
企業様の研修講師として社員様の育成を行うとともに、管理職の方にはスキルアップやお客様対応スキルをお伝えしています。起業以来「個人個人のブランド力を上げる」「その方の持つ素材を最大限に生かす」という軸は、変わらず大切にしています。
ビジネスでは第一印象やマナーが重要とされますが、マナーって形ではなく、在り方や心を尽くすことだと思うんです。
例えば、飲食店で静かにお皿を置かれると感じがいい。この「感じがいい」に対して人の心は動き、行動が変わってきます。また、普段ダメージデニムで働ける自由な社風の会社でも、初めての大事な商談では配慮が必要ですよね。まずは自分を客観的に分析して、スキルの高さを届けた方が効果的。その上で時間の経過とともにカジュアルにすれば、ギャップとして魅力的に映る場合もあります。とはいえ初対面では冷静に自分を見ながら、相手へ心を尽くすことが大切だと思います。
母の理想に応え続けた幼少期、
目標を見つけた社会人時代


実は小さい頃は、母の持つ「理想の女性像」に応える日々でした。母が洋裁の先生だったので洋服は1日3回着替え、勉強に習い事と大忙し。家事もできるようにと、小学校1年生からお米を研いだり洗濯物を畳んだり。自分の時間を作るために必死で早くやったお陰で、今でも段取り上手です(笑)。母に褒められたい一心だったのでしょうね。
父は仕事、母はお化粧から家事に地域貢献…と完璧だったので、反抗する気にもなれず(苦笑)、後から聞くと両親とも、私を一人前にしなくてはと強く思っていたそうです。
大学卒業後は株式会社サンリオに就職し人事部に配属。希望ではなかったので戸惑いつつも「どのように仕事を楽しむか」を目標に先輩方の経歴を覚え「大学の後輩です」「電車の沿線が一緒です」など、コミュニケーションを取りはじめました。すると「面白い子がいる」と噂になり、「私の名前当ててみて!」なんて人事部に来る方も現れました。
仕入担当になった際には、取引先の方に「頑張って納期までに仕事をしよう」と思っていただけるよう、市場を分析したり取引先様を知ろうとしました。工場見学や職人の方とお話しし、他部署の営業部会議に出たいと申し出ることも。立場や環境が異なる中で、同じ最終目標への道のりをすりあわせることに、面白さを感じました。こうして私は目標を達成しながら、親の物差しではなく社会の広い物差しで評価される喜びを知ったのです。
いつの間にか幼少期からの「目的に対して現状を分析し、ギャップを埋める」は習慣になり、仕事に活かせていました。母は厳しさを通して、これを私に伝えたかったのかもしれませんね。

結婚し、名古屋で子育てする中、
「講師養成講座」を見つける
結婚して名古屋に移り、妊娠を機に退職。じっとしていられない私にとっては1日が長くて(笑)。子どもと関わりたいとPTAを引き受け、文章を書いて投稿したり、気軽に始めた洋裁ではコートまで作れるように。時間をフル活用して日々を楽しんでいました。 そんな時に新聞で「講師養成講座」の文字を見つけ、即申し込んだのが47歳の時。自分の棚卸しや新しい学びを得て、修了後は、色・骨格・顔型診断によるファッションコンサルや、百貨店でのイベントに携わりました。そして「イメージや印象という、抽象的なものの言語化が上手いですね」と褒められる機会が増え、「なりたいイメージつくりの実現」を仕事としてはじめました。

仕事の中では「伝え方」に注意を払っています。「言霊」と言われるように、1つひとつの言葉には深い想いがありますよね。どの言葉を選べば目の前の方と良い関係が作れるか…。今後AIやオンラインが進んでも課題は同じだと思うので、言葉や表情の温度を肌で感じながら、優しく伝わる言葉を選んでいきたいです。
誰もが持つ「成長の羽」を
一緒に探していきたい


現在5歳と3歳になる孫と遊ぶと、好奇心のまま自由に動き回る姿に、人間には必ず成長欲求が備わっていることを実感します。
ただ働く中でその成長欲求がどこかに行ってしまう方もあります。誰もが持っている「成長」という羽がいつの間にか隠れてしまうのですよね。
そんな時「羽の使い方を知りたい」「勇気を出して羽ばたきたい」と感じたのなら、私が使い方をお伝えします。一緒に助走し、少しずつ成功体験を重ねて「自分なりの羽ばたき方」を身につけて欲しい。最終的にはご自身で再現していただくことが、私の役目だと思っています。
病気は気づきに
今後は「持続力」を大切に


2013年に法人化してから数年が経った頃、大きな病気に罹りました。これからというタイミングでのブレーキが悔しくて…。すると息子から「悔しいと思うのは自分を攻撃することだよ。戦って治るわけじゃないから病気と共存していこうよ」と言われ、はっとしました。
客観的に症状を記録したところ、どういう時に悪化するかがわかり、事実ではなく捉え方を変える工夫をしました。結果、病状は寛解。その捉え方が今は当たり前になり「考え方次第で未来は変わる」ということを感じています。
最近心がけているのは、不得意だった「継続力」と「整理整頓」を意識すること。「継続は力」といいますし、整理整頓は仕事にも大切ですからね。毎朝お部屋のパワースポットのお水を変えたり、書類や引き出しを常に整頓し、気づけば3年が経ちました。
思い返すと、幼少期は褒められたい気持ち以上に、「成長したい」という気持ちが勝っていました。やってみる=自分の糧になると経験の中から学んだのでしょうね。今年は、起業当初に節目と考えていた65歳になりました。次の節目は80歳でしょうか。講師業は常に成長を求められるので、見える細胞は衰えても、自分の中に蓄積されていく見えないものに着目し、女性として楽しみながら元気に歩いていきたいですね。
【余語さんのMDNA SKIN
お気に入りアイテム】
全ての方に体感していただきたいのがザフェイスウォッシュです。クレンジングって、リセットしたいけれど落としすぎてもダメ。そんな難しいアイテムなのに、W洗顔なしの手軽さと、マスカラもするっと取れる使用感が気に入りました。出張でも愛用していますし、実家や息子の家にまで置いていますよ。
※弊社からご出演を依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しております。
- 余語 まりあ よご まりあ
- 人材育成コンサルタント/DiSK®パートナー
- 株式会社ワイズエフェクト 代表取締役
大学卒業後、株式会社サンリオに勤務。人事と仕入部を経験後、結婚を機に名古屋に移転。
子育てに一段落ついた2008年、「東海テレビ講師養成講座」を学び、認定講師として起業。
現在では、大手企業様から中小企業様に至るまで約6万2000人のビジネスパーソンに、研修やセミナー、講演を実施。社員1人ひとりの可能性を活かし、企業の業績をあげるための課題解決と実践型の研修が大きな特色となっている。
これまでビジネス書は3冊出版。最新書は『行動傾向分析で磨く 個性を活かすリーダーのコミュニケーション』(同文舘出版・2024年10月発行)。
インタビュアー/ライター 増田 有香(綴屋 https://tsuzuriya.jp/)
撮影 臼井さや香(IMA photography http://jotatu.jp)